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「ある山の出来事」その1 写真家:柴田大輔

TransitYardで重度知的障害のある青年とシェア生活をおくる写真家柴田大輔さん。
柴田さんは、長年に渡りコロンビアを取材していて、一年の数ヶ月をコロンビアに滞在している。ご縁があり、東京での活動拠点としてTransitYardを選び、1階のTransitCafe☀Colorsの企画にも協力してくれ、また、ガイドヘルパーから始めようキャンペーン等のProjectにも写真家として尽力をしてくれています。

柴田さんは、またコロンビアの地に渡り、内戦停戦後の人々の暮らしを取材し、先日帰国しました。

近々、遠いコロンビアの「普通の人々の暮らし」の様子を聞かせてくれるでしょう。
そんな柴田さんからコロンビアに関する寄稿を頂きました(中村)



 「ある山の出来事」その1 写真家:柴田大輔


 桜が散り、夏に向け季節が移ろう。この時期、よく晴れた日中に外を歩くと、シャツの中がうっすらと汗ばんでくる。ちょっと休もうと建物の陰に入ると、思いのほか涼しく、ひんやりとした空気に包まれる。冷たい空気が鼻腔をつく。そんな時、思いがけずコロンビアの記憶が蘇る。

 2006年からコロンビアに通い始めた。気がつくと5年近くを現地で過ごして来た。コロンビアの魅力は、風土と生活の多様さにあると僕は思っている。赤道に近いコロンビアには四季がない。日本の3倍の国土に5000mの山があり、熱帯雨林、高原、砂漠、海岸、草原がある。標高が下がれば常夏であり、場所によって熱帯のねっとりとした湿気に包まれる。標高が上がれば気温が下がり、2000mを超えたくらいが「常春」とも言われる場所。僕が長く過ごした土地がこの環境だった。さらに標高が上がれば、パラモと呼ばれる高地から万年雪が覆う土地に行き着く。そしてこの多様な風土の各地に人々が息づく。
 
 そのコロンビアで今、半世紀を超える内戦が終わろうとしている。同国最大の反政府ゲリラ・コロンビア革命軍(以降、FARC)と政府が和平合意を結
び、52年に及ぶ両者の武力紛争が終結した。さらに、もう一つの反政府ゲリラ・民族解放軍(ELN)と政府間の和平交渉が始まった。
 コロンビアで続く反政府ゲリラと政府間の内戦は、スペイン植民地時代から続く支配層による富の独占に対し、社会変革を求める人々が銃を取り始まった。のちにゲリラから自衛のために資本家が持つ民兵が力を持ち、さらに麻薬組織など複数の武装組織が絡み合い複雑化していく。
 内戦の舞台となった農村では、武装組織の間に立たされ、互いから敵対する組織とのつながりを疑われ見せしめ的に虐殺される住民が各地で相次いだ。「戦争はもう沢山だ」。暴力に生活を壊された人々が口にする。
 
 旅の中である地域に行き着いた。そこはコロンビア南西部の端にあり、隣国エクアドルまで直線で30キロほどの山深い場所にある。先住民族アワの人々が暮らすその場所は、長い間、政府の手が届ききらず、地域を住みよくしようする住民自身が少しずつ働いて来た場所だ。自給自足的な環境の中で、道路、橋、学校など、必要なものをコツコツ積み上げられてきた。ここがコロンビアでもっとも凄惨な暴力の中に巻き込まれることになったのは2000年のころから。長い同国の内戦の中で見るとつい最近の出来事といえる。「辺境」に置かれていたことから顧みられることがなかった場所の人々が、暴力により死に、行方不明となり、土地を追われた。わずか20年にも満たない間の出来事だ。そして今、何事もなかったかのように戦争が終わろうとしている。ここで何が起きてきたのか。まだ、わからないことは多いが、これまでの滞在で知りえたことを書きたいと思う。

 その場所はマグイという。初めてその山に立ったとき、僕はその、あまりに深い緑の色に怖さを覚えた。飲み込まれそうな思いを感じた。しかし、そこで過ごすほどに、人だけでなくあらゆる命がその緑と、それを育む大地に包み込まれていることを実感した。緑の深さは、あらゆる命を包み込む大地の力の表れなのだろう。木々を揺らす風の匂いが、鼻の奥に蘇る。
※写真:マグイに暮らす人々。

写真家 柴田大輔
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